平成23年12月15日、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会は、労災保険の「特別加入者」の補償範囲を拡大する方向での厚生労働省の見直し方針を「妥当」とし、厚生労働大臣に答申しました。これは、東日本大震災の復旧・復興作業で主要な役割を果たすと想定される建設業の「一人親方」が、作業中に被った災害について適切な補償が受けられるようにすることを目的とするものです。
■改正の概要
労災保険は、本来、労働者(被雇用者)の負傷、疾病、障害、死亡などに対して保険給付を行う制度で、個人事業主である「一人親方」は対象となりません。しかし、労働者以外でも、業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる場合は特別に任意加入することができ(特別加入制度)、一定の事業を行う「一人親方」も特別加入者となることができます。
特別加入者が作業中に被った災害について保険給付が受けられるのは、「労働者災害補償保険法施行規則」に規定する事業において想定される作業を行う場合に限りますが、復旧・復興作業では、建設業において通常想定されない作業が必要な場合があります。
このため、厚生労働大臣は、特別加入した建設業の一人親方が、これらの作業に従事した際に被った災害についても労災保険による補償の対象とするとした改正省令案要綱を労働政策審議会に諮問していました。
◎「労働者災害補償保険法施行規則」第46条の17の定め
第46条の17 労働者災害補償保険法第33条第3号の厚生労働省令で定める種類の事業は、次のとおりとする。
1 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業
2 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又は
その準備の事業
3 漁船による水産動植物の採捕の事業(7に掲げる事業を除く)
4 林業の事業
5 医薬品の配置販売の事業
6 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業
7 船員法第1条に規定する船員が行う事業
◎特別加入の改正内容
労働者災害補償保険法施行規則第46条の17第2号に掲げる事業を行なう者として特別加入した一人親方等が工作物の原状回復又はその準備の事業に従事する際に被った災害を労働者災害補償保険による補償の対象とすること。
◎改正省令施行日
平成24年1月1日施行
詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]