国際間の人的移動に伴い、外国に派遣される日本人及び外国から日本に派遣される外国人について、二重に保険料を支払うことを余儀なくされたり、相互の年金制度が異なることから年金加入期間等の取扱いで不都合が生じたりしていることから、その改善を図るため二国間協定を締結する動きが活発になってきました。
■社会保障協定締結の背景等
国際的な交流が活発化する中、企業から派遣されて海外で働くことや、将来を海外で生活される方が年々増加しています。海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入をする必要があり、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。また、日本や海外の年金を受けとるためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、保険料の掛け捨てになってしまうことがあります。
(1)二重加入
相手国に派遣され就労している人については、派遣中でも自国の年金制度に継続して加入している場合が多く、自国の公的年金制度と相手国の公的年金制度に対して二重に保険料を支払うことを余儀なくされていること。
(2)年金受給資格の問題
日本の公的年金制度に限らず、外国の公的年金制度についても老齢年金の受給資格のひとつとして一定期間の制度への加入を要求している場合がありますが、相手国に短期間派遣され、その期間だけ相手国の公的年金制度に加入したとしても老齢年金の受給資格要件としての一定の加入年数を満たすことができない場合が多いため、相手国で負担した保険料が掛け捨てになること。
◎問題を解決するための対応策
(1)適用調整
相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合には、当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用し、5年を超える見込みの場合には、相手国の法令のみを適用する。
(2)保険期間の通算
両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする。
◎各国との社会保障協定発効状況
社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。日本は12ヶ国と協定を結んでいます。「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」は、日本と協定を結んでいる国の間のみで有効となります。
協定発効済相手国 | 協定発効日 |
ドイツ | 平成12年2月1日 |
イギリス | 平成13年2月1日 |
韓国 | 平成17年4月1日 |
アメリカ | 平成17年10月1日 |
ベルギー | 平成19年1月1日 |
フランス | 平成19年6月1日 |
カナダ | 平成20年3月1日 |
オーストラリア | 平成21年1月1日 |
オランダ | 平成21年3月1日 |
チェコ | 平成21年6月1日 |
スペイン | 平成22年12月1日 |
アイルランド | 平成22年12月1日 |
◎社会保障協定の署名済の相手国・・・相互の国会等承認待ち
・イタリア:平成21年2月署名
・ブラジル:平成22年7月署名
・スイス :平成22年10月署名
◎政府間で交渉中の相手国
・ハンガリー :平成21年11月から協議中
・ルクセンブルク:平成22年5月から協議中
・インド :平成23年7月から協議中
・スウェーデン :平成23年10月から協議中
・中華人民共和国:平成23年10月から協議中
◎予備協議中の相手国
・スロバキア :平成22年9月から協議中
・オーストリア:平成22年10月から協議中
・フィリピン :平成21年8月から協議中
詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/shakaihoshou.html