厚生労働大臣は、12月5日、労働政策審議会に対し、労災保険率を現行より平均で0.6/1,000引き下げることなどを盛り込んだ省令案要綱を諮問しました。労災保険料を算出するための労災保険率は、厚生労働大臣が55の業種ごとに定め、過去3年間の災害発生率などを基に原則3年ごとに改定しています。改正案が承認されると、平成24年4月1日から施行となります。
■改正案の概要
◎ポイント1:労災保険率を、平均で0.6/1,000 引下げ
・労災保険率を、平成24 年4月1日から平均で5.4/1,000 から4.8/1,000 へ、0.6/1,000 引下げ
・引下げ:35業種、据置き:12業種、引上げ:8業種
・最低(金融業・保険業など)2.5/1,000〜最高(トンネル新設事業など)89/1,000
・平成元年度以降 平均の労災保険率(単位:1/1,000)
元年度 | 4年度 | 7年度 | 10年度 | 13年度 | 15年度 | 18年度 | 21年度 | 改正案 |
10.8 | 11.2 | 9.9 | 9.4 | 8.5 | 7.4 | 7.0 | 5.4 | 4.8 |
◎ポイント2:メリット制の適用対象を拡大
労災保険には、個々の事業場の災害発生率に応じて労災保険料を−40%〜+40%の幅で増減する「メリット制」があります。
これは、同一の業種でも事業主の災害防止努力などによって災害発生率に差があるためで、保険料負担の公平性の確保や事業主による災害防止努力を一層促進する観点から設けられている制度です。
建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料(※注)の額を、現行の100万円以上」から「40 万円以上」に緩和し、適用対象を拡大します。これにより、事業主の災害防止努力により労災保険料が割引となる事業場が増えます。
(※注)使用した労働者に実際に支払った賃金総額に、労災保険率を乗じて算定する労災保険料。
【事例:建設業の場合】※赤字の表記が改正の箇所
| 現 行 | 改正後 | ||
メリット制の対象となる要件 | 増減幅 | メリット制の対象となる要件 | 増減幅 | |
単独有期事業 (大規模な建設工事) | 建設工事の確定保険料が 100万円以上又は請負金額が1.2億円以上 | ±40% | 建設工事の確定保険料が40万円以上又は請負金額が1.2億円以上 | ±40% |
一括有期事業 (年間の中小規模の建設工事をひとまとめ) | 年間の確定保険料が合計100万円以上 | ±40% | 年間の確定保険料が合計100万円以上 | ±40% |
年間の確定保険料が合計40万円以上100万円未満 | ±30% |
・メリット制が改正されると、一括有期事業の場合、年間の確定保険料が40万円台で、現在はメリット制の対象でない事業場でも、平成24年度以降、メリット制の対象となります。
【例】「建築業」で保険料が年間41万円、過去3年間無事故の場合、メリット制により、確定保険料が29.3万円(11.7万円の減)となる。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]