【 中小事業主への適用猶予 】
この規定の適用は、法定割増賃金率の引上げが猶予される中小企業については、同様に猶予されます。
1か月について時間外労働が60時間を超えた場合に、その超えた時間について法定割増賃金の引上げ分の支払に代えて代替休暇を与えるには、事業場ごとに書面により労使協定を締結する必要があります。
労使協定の締結当事者となる労働者側の代表は、時間外・休日労働協定(36協定)を締結する場合や、変形労働時間制などを導入する際に労使協定を締結する場合と同様に、事業場の過半数で組織される労働組合があればその労働組合(過半数労働組合)、そのような労働組合が無い場合には事業場の労働者の過半数を代表とする者(過半数代表者)となります。
【 就業規則例 】
※ 下記規定は規定例です。実際には各事業所様の実態に合わせる必要があります。
第 条(代替休暇)
1 会社は、1ヵ月60時間を超える時間外勤務をした従業員があるときは、
第 条に規定する時間外勤務手当のうち次の算式により算定される
部分の支給に代えて、代替休暇を付与することがある。
〔時間当たり算定基準額〕×0.25×〔1ヵ月60時間を超える時間外勤務の時間数〕
2 従業員が取得した代替休暇には、所定労働時間を勤務したときに
支払われる通常の給与を支給する。
3 代替休暇の付与に関する具体的な取り扱いについては、従業員の
過半数を代表する者との協定に基づいて別に定める。
【 労使協定例 】
※ 下記規定は規定例です。実際には各事業所様の実態に合わせる必要があります。
割増賃金の支払に代わる代替休暇の付与に関する協定
○○株式会社(以下「会社」という)と○○株式会社の従業員の過半数を
代表する者は、割増賃金の支払に代わる代替休暇の付与に関し、
次の通りの協定(以下「本協定」という)を締結する。
(代替休暇の付与)
第1条 会社は、1ヵ月60時間を超える時間外勤務(法定休日以外の
休日勤務を含む。以下「代替休暇対象労働」という)をした従業員に対し、
本協定の定めるところにより、時間外勤務手当のうち第5条第3項に
従って支給を保留しうる部分の支給に代えて、代替休暇を付与するものと
する。
(代替休暇の時間の算定方法)
第2条 代替休暇として付与することのできる時間の時間数は
次の算式によって算定する。
〔代替休暇対象労働の時間数〕×0.25
(代替休暇の単位)
第3条 代替休暇は半日(すなわち所定労働日の午後9時から正午まで、
もしくは、午後1時から午後5時のいずれかを意味する)または
1日を単位として付与するものとする。
2 前項にかかわらず、会社は、従業員が希望するときは、
第2条に従って算定される代替休暇の時間と当該従業員の
年次有給休暇の時間とをあわせることにより半日または1日を
単位とした休暇を付与することができる。
(代替休暇の付与期間)
第4条 代替休暇は、代替休暇対象労働をした月の末日の翌日から
2ヵ月以内(以下「代替休暇付与期間」という)に付与するものとする。
2 第2条に従って算定される代替休暇の時間で未消化のものは、
代替休暇付与期間が経過していない限り、これに係る代替休暇
対象労働をした月が異なる場合であっても合算して付与することが
できる。
(代替休暇の付与手続き)
第5条 代替休暇対象労働をした従業員は、代替休暇対象労働をした
月の末日の翌日から1週間を経過するまでの間に、代替休暇を
取得するか否かの意向を会社に通知するものとする。
かかる通知は、会社がその裁量により撤回を承諾する場合を除き、
撤回できないものとする。ただし、代替休暇を取得する意向である旨を
通知した場合で、第4項に従って従業員が特定した半日または1日に
おける代替休暇の取得ができないこととなったときは、撤回できるものと
する。
2 前項の期間内に通知がない場合、会社は、当該従業員に対し、
代替休暇を取得するか否かの意向を通知するよう催告するものとする。
会社の催告があった日の翌労働日までに当該従業員が通知を
しないときは、会社は、代替休暇を取得しない意向である旨の通知が
あったものとして扱うものとする。
3 第1項に従って代替休暇を取得する意向である旨を会社に通知した
従業員に対しては、会社は、代替休暇付与期間経過後(ただし、
第1項に従ってかかる通知を撤回した場合は当該撤回日を含む月の
末日経過後)最初に到来する賃金支払日まで、
代替休暇対象労働について就業規則第 条〔筆者注:50%の
割増賃金率によって計算された時間外勤務手当の支給を定めた規定〕
に従って支給されるべき時間外勤務手当のうち、
次の算式によって算定される部分の支給を保留することができる。
〔時間当たり算定基準額〕×0.25×〔代替休暇対象労働の時間数〕
4 前項の従業員は、代替休暇を取得しようとするときは、
第2条に従って算定される代替休暇の時間数の限度で、
代替休暇付与期間中の半日または1日を特定して、
事前に会社に取得申請するものとする。
会社は、その事業の正常な運営を妨げない限り、
従業員が特定したところに従って、代替休暇を付与するものとする。
(代替休暇の付与の効果)
第6条 前項第3項の従業員が、前条第4項に従って代替休暇を
取得したときは、前条第3項に従って支給を保留された時間外
勤務手当のうち、次の算式によって算定される部分について、
会社の支給義務が消滅するものとする。
〔取得された代替休暇の時間数〕÷0.25×〔時間当たり算定基準額〕
2 代替休暇が付与された時間については、時間当たり算定基準額の
給与が支払われるものとする。
第7条 代替休暇は、年次有給休暇の算定の基礎となる全労働日には
含まれないものとして扱うものとする。
(有効期間)
第8条 本協定の有効期間は、平成 年 月 日から1年間とする。
ただし、有効期間満了日の1ヵ月前までに、本協定当事者のいずれの
一当事者からも反対の意思表示がないときは、有効期間を1年間延長
するものとし、以後も同様とする。
平成 年 月 日
○○株式会社 代表取締役○○○○
○○株式会社 従業員代表○○○○