【 中小事業主への適用猶予 】
50%以上の割増賃金の支払いが必要となるのは、 時間外労働が1か月につき60時間を超えた場合に、 60時間を超えた時間の労働です。
時間外労働をカウントする基礎となる1か月の起算日から累計して、 時間外労働時間が60時間に達した時点より後の時間外労働について 50%以上の割増賃金の支払いが義務付けられることになります。
このため、実務上は、どの時点で時間外労働時間が60時間を超えるのかを見極めるため、月の時間外労働時間のカウントを開始する「1か月」の起算日を明確にしておくことが重要となります。
ここで言う「1か月」とは、暦に従った1か月の期間を言います。
その起算日は、例えば「毎月1日」、「賃金計算期間の初日」、あるいは「時間外労働協定(36協定)で定めた一定期間の起算日」などが考えられます。
どの時点を時間外労働の算定の基礎とする1か月の起算日とするかは、各事業場で決めることができます。
特に、就業規則等に定めがない場合には、労使慣行等で異なる取扱いをしている場合を除き、「賃金計算期間の初日」が起算日として取り扱われることとなります。
【 就業規則例 】
※ 下記規定は規定例です。実際には各事業所様の実態に合わせる必要があります。
<給与規程に関連規定を置く場合>
第 条(時間外勤務手当)
1 就業規則第 条に定める時間外勤務をした者に対しては、
本条の定めるところにより算定される時間外勤務手当を支給する。
2 時間外勤務手当は次の通り算定する。
なお本項にいう1ヵ月とは、各賃金計算期間の初日を起算日とする
暦による1ヵ月、1年とは、毎年 月1日〜 月末日までの1年を
意味する。
(1)1ヵ月45時間以内、1年360時間以内の時間外勤務:
〔時間当たり算定基準額〕×1.25×〔時間外勤務時間数〕
(2)1ヵ月45時間を超え、または1年360時間を超える時間外勤務
(ただし、第(3)号に該当する場合を除く):
〔時間当たり算定基準額〕×1.30×〔時間外勤務時間数〕
(3)1ヵ月60時間を超える時間外勤務:
〔時間当たり算定基準額〕×1.50×〔時間外勤務時間数〕
3 前項の時間外勤務が就業規則第 条に定める深夜残業にも
該当する場合は、前項に従って算定された時間外勤務手当に、
第 条に定める深夜勤務手当を加算して支給するものとする。