「継続雇用制度の対象者を限定する基準」についての解説
労働組合等と事業主との間で十分に協議の上、それぞれの企業の実情に応じて定められた基準が該当します。
事業主が高年齢者の雇用を確保するための措置として継続雇用制度を 導入する場合には、原則として希望者全員を対象とするものにしなければ なりませんが、改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで(平成25年3月31日)に、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例 部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。
その「基準」の具体的な内容については、労働組合等と事業主との間で十分に協議の上、各企業の実情に応じて定めたものである必要があります。ただし、労使で十分に協議の上、定められたものであっても、事業主が恣意的に継続雇用を排除しようとするなど、今回の法改正の趣旨や、他の労働関連法規に反するものなどは認められません。
【適切ではないと考えられる例】
・会社が必要と認めた者に限る。(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
・上司の推薦がある者に限る。(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
・男性(女性)に限る。(男女差別に該当)
・組合活動に従事していない者。(不当労働行為に該当)
また、この「基準」については、以下の点に留意して策定されたものが望ましいと考えられます。
・意欲、能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。
・必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性)企業や上司等の主観的な選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。
万が一、不適切な事例だと判断されると、公共職業安定所において必要な報告徴収が行われるとともに、個々の事例の実態に応じて、助言・指導、勧告、企業名の公表の対象となります。
なお、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入や、65歳以上への定年の引上げをされる場合は、定年引上げ等奨励金(中小企業定年引上げ等奨励金)の対象となりますので、同奨励金の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。