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自社の実情を反映していない場合、トラブル発生の要因となります。
 

1・法律はどんどん変わっています。
労働基準法・・・平成15年改正の大きな特徴は解雇規定(平成16年施行)
育児・介護休業法・・・改正により正社員以外も取得可能に(平成18年施行)
高年齢者雇用安定法・・・改正により65歳までの雇用確保が企業の義務に
公益通報者保護法・・・内部通報者を保護するための新法(平成17年施行)
個人情報保護法・・・ITの進歩により個人情報保護が必要に(平成17年施行)
 

2・就業規則は事業場で働く労働者全員に適用されるのが原則です。
  適用範囲が明確でなく、非正規社員用の規則がなければ
  支払うつもりがなかった場合でも、賞与、退職金を
  支払わねばならないハメになりかねません。
 

3・身元保証書について
  身元保証書は、「身元保証に関する法律」(1条、2条)により、
  身元保証の契約期間は5年を超えることは出来ず
  期間を定めないときは3年に限り有効とされています。

  また、この契約期間は自動更新することは出来ず、
  期間の満了時に更新手続をしなければなりません。

  身元保証は、従業員本人の人物を保証したり、
  その素行を監督したりするものではなく、
  従業員が使用者に損害を与えた場合に
  それを賠償することを目的としています。

  就業規則を遵守するとの誓約書をとることは
  重要な意味を持っています。

  例えば、
  労働契約を締結しても出向や懲戒等については
  労働者の同意が必要とされ、使用者は、
  当然に労働者に命令することが出来るわけではありません。

  但し、その同意は労働契約締結時の包括的同意でも
  良いというのが一般的な考え方です。(移籍出向は個別の同意が必要)

  入社の際、労働者は個別には会社の申入れを
  事実上拒否できないため、
  この時点で就業規則の記載内容について誓約書で
  包括的同意を取っておくべきでしょう。

  さらに個人情報、企業秘密等の漏洩を防止する必要性からも、
  この誓約書が重要となります。
 

4・「試用期間」を設けて新たに採用した者について
  「試用期間」は、新たに採用した者について、一定期間試用制度を
  設けその間社員としての資質(能力・人物・健康状態等)を性格に判断し、
  本採用とするか否かを決めるためにあります。

  試用期間の延長は、労働者を不安定な地位に置くこととなるため、
  就業規則上の根拠がなければ
  これを延長することは原則としてできません。
  病気で欠勤が多く、試用期間中だけでは適正を判断できない、
  
  もう少し改善できるか再チャンスを与えたい、
  という場合に延長できる規定が必要であれば、
  使用者の裁量により延長できる旨を定めておくと良いでしょう。
 

5・本採用の拒否について
  本採用拒否は実質上解雇となりますが、
  本採用拒否の方が通常の解雇よりもその正当事由の範囲は
  広いものと解されます。
 「(試用期間中の本採用の拒否のような)留保解約権に基く解雇は、
 通常の解雇とは同一ではなく、広い範囲での解雇が認められる」
 したがって、本採用拒否についても解雇事由とは
 別に記載することが望ましいでしょう。
 

6・人事異動について
 ①人事異動は時代の変化に対応するため社員を適材適所に
  異動させ企業内の一新と活性化を図るために役立ちますし、

  労働契約や就業規則で特別に勤務場所や職種を限って
  ない場合には、会社は社員の一人一人の同意を得なくても
  異動を命ずることができます。


 ②転勤については、家族の移転などが必要となる場合も
  考えられるから慎重に検討して実施することが出来ます。

 
 ③出向は、経営の多角化や企業間の提携等に伴い人材教育や
   役職を与えるためにも最近は活発に行なわれております。

 なお、出向者の身分保障について十分に配慮するため
 「出向に関する規定」を別に定めるところもあります。
 

7・昇格・降格について
  昇格・降格については、適任者の役付の資格等級を上位に格付けしたり、
  業務の都合や能力不足・不始末により下位の格付けにするなどの措置で、
  人事取扱については慎重を要します。
 

8・退職届の意味
  退職届の法的意味合いを労働契約の一方的告知と考えれば、
  退職届は撤回できないこととなります。

  しかし、一般的に、終身雇用制度という制度化にあっては
  退職届はむしろ合意退職の申込みであると考えられています。

  この場合、使用者がその申込みに対して承諾をするまでは
  撤回も出来るといえます。
 

9・復職とは
  「復職」とは、休職理由が消滅した時に職務に服することをいいます。
  これは社員としての身分を保ったまま休業しているのだから、
  求職期間満了又は満了前であっても、休職理由がなくなれば
  使用者は職場復帰の命令が出来るのです。

  傷病による求職の復帰については医師の診断により業務に就かせます。
  復職が出来ない時は退職とすることの条項を必ず定めておくことも大切です。
 

10・解雇を行う場合
  解雇を行う場合、就業規則への規定が必要です。
  解雇事由を明確に定めておく必要があります。
 

11・中途採用を行う場合
  中途採用の場合には、即戦力を期待していることが
  多いのではないでしょうか。
  このような場合は、特定の能力があることを前提として
  採用しているはずです。
  つまり、それが契約締結の条件になっていると考えることが出来ます。
  そうであれば、その条件が満たされなければ契約を
  解消することも出来るのではないでしょうか。
 

12・電子メールやインターネットの利用
  業務上で電子メールやインターネットを利用するのは
  日常的なことになってきています。
  そのわりに、利用のルールが作られていることは少ないようです。
  そのためにトラブルが発生することもあります。
  自社の状況を踏まえた上で利用規定を定めておくべきです。
 

13・副業への取扱
  アルバイトを全面的に禁止することは出来ないと考えるべきでしょう。
  就業時間外は自由であるといっても、
  労働契約に基づく労務の提供義務がありますので、
  その時間は本来なら疲労回復に当てるべきものです。

  また、アルバイトの内容によっては会社の対外的信用を
  傷つけるおそれもあります。このようなことを考慮すると、
  兼業禁止の規定をおくことにはそれなりの理由があるといえます。
 

14・セクシュアルハラスメントの禁止
  セクシュアルハラスメントの禁止は、均等法21条により、
  以下の通り事業主に対してセクシュアルハラスメント
  (セクハラ)防止の配慮義務があります。
  事業主には就業環境配慮義務があるためです。
①セクハラに関する方針を明確化し、社員に周知、啓発すること
②セクハラに関する苦情、相談への対応すること
③セクハラ問題が生じた場合の迅速かつ適切な対応をすること
 

15・変形労働時間制
  変形労働時間制というのは、
  その名のとおり労働時間を変形できるというものです。
  法定労働時間は1週40時間ですが、
  この範囲に収まるものであれば特定の日や特定の週の
  労働時間を柔軟に設定できます。
  一般的な固定労働時間制による場合は、
  1週間の労働時間は通常、40時間です。

  これを変形労働時間にすると、週の初めが忙しいとき、
  月曜日の労働時間を10時間とします。

  これは固定労働時間制では法定労働時間を超えることになりますので
  認められません。

  しかし、変形労働時間制を導入することとし、
  比較的ゆとりのある週末の2時間を忙しい日に振替えれば、
  週の労働時間は40時間になりますから、適法ということになるのです。

   変形労働時間の種類には次のものがあります。
・1ヶ月単位の変形労働時間制
・1年単位の変形労働時間制
・一週間単位の非定型的変形労働時間制
・フレックスタイム制
 

16・割増賃金の支払義務
  割増賃金の支払義務があるのは法定労働時間を超えた場合です。
  ただし、所定労働時間がこれより短く、法定労働時間を超えた場合
  に割増賃金を支払うこととするのであれば、
  就業規則のその旨の規程をしておかなければなりません。

  この休日振替を行えばこの日は休日労働とならないので、法律上休日労働を
  禁止させている女性や年少者も労働を命ずることも出来ますし、

  又、休日労働に関する36協定がない場合も労働を命ずることができるので
  この、条項を就業規則に定めておけば、「休日の振替」が出来ることになります。

  「休日の振替」は、休日労働ではありませんから
  休日出勤手当の支払いの必要はありません。

  「代休」とは、休日に労働させて休業させなかった
  代わりに休業を与えることであり、
  36協定により休日労働の届出を労働基準監督署長に
  届出て実施しなければなりませんし、
  又休日労働をさせた場合は、休日労働割増手当を支払います。

  また、「代休」は与えても、与えなくても法律違反にはなりません。
  代休を与えた場合は、その日は給与を支払わなくてもかまいません。
17・年次有給休暇
  年次有給休暇の消化順について労働基準法では何も触れていません。
  トラブルを未然に防ぐという意味で、消化順を就業規則へ記載しておくべきです。
 

18・年次有給休暇の計画的付与
  労働者の過半数を代表する者との間で、
  年次有給休暇を与える時季に関する協定を締結した場合

  5日を超える部分については、その協定の定めに基づいて
  年休を計画的に与えることが出来ます。

  賃金の支払い形態は、大きくは定額制と出来高払制に区分できます。

  定額制には時給制、日給制、週給制、月給制などがあります。

  本来の月給制の考え方は、月決めで賃金を支払うというものです。

  1ヶ月を単位としていますから欠勤や遅刻・早退などの
  不就業があっても賃金の控除は行ないません。
  一般的にはこれを完全月給制とよんでいます。

  これに対して、不就業の時間分について賃金を控除するやり方もあります。
  このような月給制のことを日給月給制と呼びます。

   欠勤した日数や遅刻・早退した時間について
  一定の計算式に基づいて賃金を控除することになります。

  完全月給制と日給月給制の区分が曖昧なまま
  取り扱われている事もよくあります。

  トラブルを防止する意味でも、月給制を採用している場合には、
  自社の月給制のタイプを明確にして対応する必要があります。

  就業規則の賃金支払に関する条文の中で、明らかにしておくべきでしょう。
 

19・賞与支給
  賞与を支給する場合の要件を明確に定めておくべきでしょう。
  この場合、賞与算定期間だけでなく、賞与支給日における
  在籍を受給要件とする旨を必ず記載しておくべきです。

  この記載がなければ支給日前に退職した人から
  「賞与算定期間に在籍していたので、賞与を払ってください。」
  といわれた場合、
  支払わなくてはならなくなる場合があります。
 

20・基本給と残業手当
  基本給等に残業手当を含んでいる場合基本給与分と
  残業手当分を区分してください。

  そして、その残業手当分が、何時間分の時間外労働分に
  なるか明確にしてください。

  区分していないと、監督署は残業手当分が含まれている
  という主張は認めてくれません。

  実際の時間外労働が設定した時間を超えた場合は
  その超えた分について別途割増賃金を払わなくてはなりません。
 

21・給与額の端数計算処理
  労働者にとって不利益になるような端数計算の処理を行うことは
  法違反であり認められません。
  
(例)・5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットすることは認められません。
   ・1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の時間数の合計に
    1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、
    それ以上を1時間に切り上げることは認められます。
 

22・懲戒
  就業規則に規定があれば個々の労働者が承認しなくても
  懲戒することが出来ます。

  が就業規則に懲戒規定がない場合は、懲戒処分を行うことが
  出来ないおそれがあります。
 

23・懲戒の定め方
  懲戒処分は労働者にとって不利益な扱いです。
  その為、裁判になった場合、厳密に判断される傾向にあります。

  そのことから、懲戒事由の規定については、
  考えうる懲戒事由を全てピックアップしなければならないということになります。
  しかし、これは現実的には不可能です。
  どのような事由が起りうるかを事前に網羅することは不可能でしょう。

  そこで、通常は一般条項を定めて、これに対応していることが多いと思われます。

  一般条項というのは、「前各号に準ずる行為があったとき」
  といった形の規定のことをいいます。つまり、包括的に定めておくということです。
 

24・社員の定期健康診断の義務付け
  定期健康診断は使用者に対して実施が義務付けられ、
  又労働者には受診義務があります。
 
  会社としては、安全配慮の観点からも定期健康診断を
  受診させるようにすべきでしょう。

  それを明確にするため、就業規則の中に受診義務に
  関する規定を定めておくべきです。
  もし、これに違反するようなことがあった場合には、
  懲戒処分の対称にするなどして対応すべきでしょう。
 

25・労働時間の把握
  「始業時刻とは業務を開始する時刻であり、出社時刻でない」
  という事をハッキリと決めましょう。
 

26・管理監督者の取扱
  管理職は、時間外及び休日勤務の規定の対象とならない社員です。
  管理・監督者とは、次の要件をすべて満たす者
①労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者
②労働時間・休憩・休日に関する規定の枠を超えて活動することが
 要請されざるを得ない重要な責務と責任を有し現実の勤務態様も
 労働時間などの規制になじまないような立場にある者
③賃金や待遇面でその地位にふさわしい待遇がなされている者
 

27・休日と休暇の取扱
  休みが増えるごとに残業代の単価が上がってもいいですか?

  ただ単に休日を増やすと、それに応じて残業代の単価も上昇します。
  「休み」を増やす場合はしっかりとした対策を練らないといません。

  「休み」には、「休日」と「休暇」があります。

  「休日」とはそもそも労働義務が無い日です。

  原則的には「1週間に最低1日は与えなさい」と
  労働基準法でも定められています。

  それに対して「休暇」とは、本来は労働義務を免除することを指します。

  要するに、「もともとは出勤日なのだが、出勤を要さず」
  としている日のことです。有給休暇もこの一種です。

  「休日」が増えるということは、それだけ年間の
  所定労働時間が減るということです。

  それに対して、「休暇」はもともと労働日であるが、
  その労働義務を免除しているのにすぎないので、
  年間の所定労働時間自体に変化はない。
  だから、「休暇」を増やしても残業代の単価に変化は無いことになります。

  「休暇」はそもそも労働義務があるので、その日に休まないで
  出勤した場合は、ただ単に労働義務が免除されなかっただけであるから、
  「休日出勤」の扱いにはなりません。

  例えば、1年単位の変形労働時間制を採用していて年間の休みが
  124日ある場合、休日を105日とし残りの19日を休暇
  (年次有給休暇、夏季休暇、年末年始休暇、祝日)にした時、
  1日の所定労働時間が8時間で月額25万円の場合、
  1時間あたりの残業代の単価に約140円もの差がつくことになります。
 

28・会社の休業
  「休業」は、風水害、火災等天災地変によって被害を受け操業が
  困難となったり、会社諸事情によりやむを得ず社員を休業させる
  場合のことで、天災地変以外は事前に社員に休業する理由と
  その期間を知らせる必要があります。

  「休業手当」は労基法26条に規定されており休業期間中は、
  平均賃金の100分の60以上を支払うように定められています。

  この休業手当を支払わなければならない、
  「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは、
  結局使用者が自己の責任において企業の経営を行う以上、
  休業になることを避けるため社会通念上最善の努力をしたかどうか、
  によって判断されることになります。

  すなわち、使用者は企業の経営上当然予見することが出来る経営の
  危機に対しては最善の努力を尽くさなければならないのであって、

  そのような努力をしてもなお使用者が避けることのできない事由に
  よって休業したかどうか、ということになります。

  通常、いわゆる不可抗力による場合以外は、
  使用者の責に帰すべき事由に該当するうものと考えるべきでしょう。

  不可抗力の概念については、
第一にその原因が事業の外部より発生した事故であること、

第二に使用者が通常の経営者として最大の注意を尽くして、
    なお避けることのできない事故であることなどの要件が
    無ければならないと解されています。

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